皆様はおクルマを改造されることはありますか?
私は2022年に発売された 日産フェアレディZ RZ34に乗っていますが、ところどころ改造を施しています。
クルマ好きにとって、”自分好みに仕上げる”というのはクルマの大きな楽しみのひとつです。しかし実は、近年の新型車は“改造すること”自体が非常に難しくなっています。
今回は、なぜ現代の新型車はチューニングやカスタムが難しくなっているのかを紹介します。
まず挙げられるのが、“規制”による難しさです。
日本では公道を走行するクルマは、当然ながら車検へ適合する必要があります。車検には騒音や排ガス、灯火類、最低地上高など様々な基準があり、ひとつでも満たしていなければ不合格となります。
特に近年では、「加速騒音規制」の影響が非常に大きく、装着できる社外マフラーの自由度が昔より大きく減りました。以前のスポーツカーのような迫力ある爆音仕様は、現代ではかなり厳しくなっています。
そのため最近の社外マフラーは、単純に音量を上げるのではなく、音質と排気効率向上によるスポーツ性を両立させる方向へ進化しています。
もうひとつ大きな理由が、クルマそのもののハイテク化です。
近年の新型車には、運転支援システムや自動ブレーキ、レーダークルーズ、車線維持支援、コネクティッドサービスなど、数多くの先進機能が搭載されています。もはや現代のクルマは、”走るスマートフォン”と言っても過言ではありません。
そして、そのハイテク装備こそが、改造を難しくしている原因でもあります。
例えば、近年の新型車はバンパーを交換するだけでも簡単ではありません。ICSセンサーやミリ波レーダー、ソナー、カメラなどの精密機器が数多く搭載されているため、単純に外して交換するだけでは済まないのです。
カプラーを慎重に外し、センサー類を移植し、正確な位置へ取り付ける必要があります。しかし、”元の位置へ戻したつもり”でも、センサーが微妙な誤差を検知してしまい、警告灯点灯やシステム異常などが発生する場合があります。
最近のクルマは、各装備が複雑に連携しているため、1箇所変更しただけでも全体のバランスが崩れることがあります。

さらに、ECU制御の複雑化も大きな理由です。
昔のスポーツカーであれば、吸排気交換やブーストアップ、ROMチューンなどで比較的シンプルに性能向上ができました。しかし現代車は、エンジンだけでなく、ミッションやブレーキ、ステアリング、トラクション制御など、あらゆるシステムが電子制御で連携しています。
そのため少し仕様変更しただけでも、ECU側が異常と判断し、チェックランプ点灯や出力制限、フェイルセーフへ入ることがあります。
さらに最近では、ECU自体に強力なセキュリティがかかっている車種も多く、簡単に書き換えできないケースも増えています。
そして今後、さらに増えていくのがEV(電気自動車)です。
内燃機関車であれば、タービン交換や吸排気変更などによって性能向上が可能でした。しかしEVの場合、モーター自体へ物理的に手を加えることは非常に困難です。基本的にはソフトウェア制御によって性能が決まっています。
つまりEVのチューニングは、“機械いじり”というより、“ソフトウェア解析”に近い世界になっています。しかしそのソフトウェアも非常に複雑で、メーカー側が厳重に保護しているため、自由に手を加えることは簡単ではありません。
最近のスーパーカーや高性能車を見ていると、「性能を上げる」というより、「環境規制で抑えられた本来の性能を解放する」というチューニングが中心になっているようにも感じます。
近年のクルマは、メーカー出荷時点で既に非常に高性能です。その代わり、排ガス規制や騒音規制、燃費規制などによって、かなり制限された状態で販売されています。
だからこそ、ECUチューンなどによって“封印を解く”ようなカスタムが注目されているのかもしれません。

2020年代のクルマは、2000年代のスポーツカーと比べると、大型化、重量増加、電子制御化、安全装備増加によって、まるで別物になっています。
昔のような「とりあえず付けてみる」というカスタムは、現代車では思わぬトラブルへ繋がる可能性もあります。
だからこそ今の時代は、メーカー純正系パーツや実績のあるブランド、そして信頼できるプロショップを選ぶことが非常に重要だと感じます。
近年の新型車は確かに改造が難しくなりました。しかしその反面、現代車ならではの高度な制御や完成度の高さも魅力のひとつです。
だからこそ、その性能を理解しながら、バランス良くカスタムしていく。それが、現代のカーライフの面白さなのかもしれません。

