街を歩いていると、コインパーキングや月極駐車場で「砂利敷き」の駐車場をよく見かけるかと思います。アスファルトで舗装されていないと「なんで砂利なんだろう?」と疑問に思う方も多いはずです。
なので今回は、なぜ駐車場が砂利なのかを紹介します。
コストの安さ
駐車場を作るときに大きく関わってくるのが「初期費用」です。アスファルト舗装やコンクリート打設には、材料費と施工費がかかり、さらに地盤整備や排水加工なども必要となり、思っている以上にお金が必要です。
一方で砂利敷きは、整地して砂利を敷き詰めるだけで完成します。もちろん厚みや使用する砂利の種類によって値段は変わりますが、それでも舗装に比べると圧倒的に安価です。特に「とりあえず駐車場にしたい」「将来的に別の用途に使うかもしれない」といった土地では、コストを抑えられる砂利駐車場が選ばれます。
排水性に優れている
砂利のもう一つの強みは「水はけの良さ」です。アスファルトは一見しっかりしていて安心感がありますが、実は水はけが悪いと水たまりができやすい素材です。しかも、雨水が溜まるとアスファルトの劣化を早め、ヒビ割れや陥没の原因となります。
砂利なら隙間から雨水が地面に染み込むため、水が溜まりにくいのが特徴です。大雨のときでも駐車場が池のようになりにくいので、利用者にとってもありがたいポイントです。
土地を守り、整地も簡単
土のままの駐車場だと、車が出入りするたびに地面が削れて轍ができたり、雨の日には泥だらけになったりします。これでは利用者にとって不便で、管理者にとっても見栄えが悪くなります。
なので、砂利を敷いておけば、車の重さがある程度分散され、地面が傷みにくくなります。また、時間が経って砂利が減ったり凹凸が出たりしても、新しい砂利を追加して均すだけで簡単に整備できます。
暫定利用に最適
「将来は建物を建てる予定だけど、今はまだ決まっていない」という土地を遊ばせておくよりも、ひとまず駐車場として活用する方が収益になります。
砂利敷きなら短期間かつ低コストで駐車場化でき、いざビルや住宅を建てるとなっても大掛かりな撤去工事は必要なく、次のステップにスムーズに移行できます。
防犯効果
砂利は「防犯」といった効果があります。クルマが出入りしたり人が歩いたりすると「ジャリッジャリッ」と音が鳴るため、不審者の侵入に気づきやすいです。静かな夜に砂利の上を歩けば、本人が思っている以上に響きます。これが心理的な抑止力となり、防犯対策として効果を発揮しています。
景観や環境との相性
住宅街や緑の多いエリアでは、黒いアスファルトよりも自然に馴染む砂利が好まれる場合もあります。特に、白っぽい砕石や丸みのある川砂利を使うと明るい印象になり、景観に調和します。庭付きの住宅や古民家カフェなどでは、あえて砂利駐車場にしているケースもあります。

砂利駐車場のデメリット
もちろん砂利駐車場にも欠点はあります。代表的なのは以下の通りです。
- 砂利が散らばる:車の出入りで敷地外に飛び出しやすい。
- 雑草が生える:季節によっては草が伸びて見栄えが悪くなる。
- 歩きにくい:ヒールや車椅子、ベビーカーには不向き。
- 砂埃が舞う:夏場や乾燥時期は特に気になる。
利用者の快適さを考えると、舗装の方が勝っている部分も多いのは事実です。そのため、長期的な運営を考えている駐車場では、初期は砂利でも、のちに舗装へ切り替えるケースも少なくありません。
まとめ
砂利駐車場が多い理由は、単に「安いから」ではなく、排水性や整地のしやすさ、防犯効果、さらには将来の土地活用を見据えた柔軟さにあります。確かにデメリットも存在しますが、短期利用やコスト重視の場合、砂利はとても合理的な選択肢です。
もしあなたが土地を所有していて「とりあえず駐車場にしたい」と考えているなら、まずは砂利敷きからスタートしてみるのもおすすめです。その後、利用者の声や収益状況を見ながら、舗装に切り替えるかどうかを判断すれば無駄も少なく済みます。
駐車場の砂利には、見た目以上にたくさんの理由と工夫が詰まっています。