成瀬シリーズ完結。私の感想を紹介します。

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皆様は「成瀬あかり」をご存知でしょうか?

「成瀬あかり」とは宮島未奈氏作の「成瀬は天下を取りにいく」という小説に登場する主人公で滋賀県大津市に住む中学2年生です。

この小説では一般的に変わり者だといわれている「成瀬あかり」を様々な人物視点から描いており、続編に「成瀬は信じた道をいく」があります。

そして今回、成瀬シリーズ完結となる3作目「成瀬は都を駆け抜ける」が2025年12月1日に発売されました。

私は、自身がよく行くスーパーマーケットの平和堂を通じて成瀬を知りました。読み進めていくうちに続きが気になって夜しか眠れませんでした。

成瀬シリーズは主に大津市や京都市が舞台となっているので、実際に登場した場所にも行ってきました。

2025年の春を成瀬に捧げてきた
私は、この2025年の春を成瀬に捧げようと思い、滋賀県大津市へと向かいました。
1日大津市民体験。平和堂巡り・成瀬と夜は短し歩けよ乙女の聖地巡礼をしてきた
大津に住むとどんな暮らしが待っているのか、体験すべく大津市で1泊し、平和堂を巡り、成瀬と夜は短し歩けよ乙女の聖地巡礼をしてきましたので、シェアしたいと思います。

そして今回発売された待望の3作目を読み終え、満足感と完結した寂しさが入り混じり、ここに感想を残したいと思いました。

なので今回は、成瀬シリーズの読書感想を紹介します。(以降ネタバレがあるので、未読の方は引き返してね。)

成瀬は天下を取りにいく

ありがとう西武大津店

「島崎、私はこの夏を西武に捧げようと思う」この一言から成瀬シリーズは始まります。ここでいう西武とは、かつて大津市に存在した西武百貨店のことです。

時は2020年夏のコロナ禍真っ只中、西武大津店が閉店するということで、地元のローカル番組が毎日、西武大津店から中継するので、成瀬が毎日、中継に映りに行くという内容です。

最初のパワーワードに惹きつけられた人も多いはずです。

視点主は成瀬の同級生で同じマンションに住む「島崎」で、成瀬の見届け人です。

「西川貴教」や「平和堂」の文字が登場した時には「おおっ!」となりました。

コロナで行動制限される中で、できる挑戦をすることに勇気をもらった方も多いはずです。

私は大津市に西武百貨店があったことは知っていましたが、訪問するタイミングを逃し、コロナ禍へ突入し、いつの間にか閉店していました。一生の不覚で、一度でも訪問しておけばよかったなと後悔しています。

似たシチュエーションで言えば、2021年2月にイオンモール名古屋みなとが閉業しました。私は小さい頃からよく行っていたので、多少の思い出があり、閉店間際にも行きました。しかし、周辺にイオンモール名古屋茶屋やららぽーと名古屋みなとアクルスがあるので、なくなって寂しいという気にはなりませんでした。

膳所から来ました

「ありがとう西武大津店」を読み終えてもまだまだ残りページは分厚いです。西武大津店が閉店した後のお話です。

西武大津店が閉店後、成瀬は何をするのかと思えば、島崎と共にゼゼカラというコンビを組み、M-1グランプリに出場することになります。

引き続き視点主は島崎で、西武大津店をテーマにした漫才をすることに。

ここまで来ると、「成瀬って変わってるよね」の一言では片付けられませんね。

ここで成瀬と島崎が最高のコンビだということを確かにします。

階段は走らない

いきなり、何の話をしているのだろう?と混乱しました。というのもこの話から視点主が「稲枝」に変わります。さらに、成瀬に関する記述が極端に減るので、余計に混乱します。

しかし、読み終えると、この「階段は走らない」は非常に重要な話だと実感します。

後の「ときめき江州音頭」で稲枝は成瀬と接触することになりますが、江州音頭の練習会で稲枝が成瀬に放った言葉に映像が浮かびます。そして、私を含め多くの方が行ったことがないであろう西武大津店に対する思い出を植え込むことになるからです。

どうやら元々は西武大津店をメインテーマにした小説を書くつもりが、途中で成瀬にスライドしたらしいです。なので、ここまでは西武大津店が主役のような立ち位置でしたが、以降、西武大津店色が薄くなっていきます。

線がつながる

「成瀬は天下をとりにいく」の中で最も核となる話です。

ここまで読んで、全員が成瀬を好きだとは限りません。視点主で成瀬と同じ膳所高校へ通うこととなった大貫が視点主のお話です。

高校生となった成瀬はさらなる奇行に突っ走りますが、それを良く思わず、学校内での立ち位置を確認する大貫に対して共感する方も多くいたのではないでしょうか?

レッツゴーミシガン

広島から競技かるた大会に参加するためにやってきた西浦が視点主となる話です。

大津市内で運行する観光船のミシガンが登場し、西浦が成瀬と出会い、ミシガンに乗る様子に青春を感じます。しかし、成瀬シリーズを通して、恋愛要素が少ないので、この話はある意味特異なのかも知れません。

私自身、高校1年生の時に(10何年か前・・・)乗船したことがありますが、ほとんど記憶にありませんでした。なので最近乗りに行きましたが、すっごく良くミシガンにすっかりハマりました。

ときめき江州音頭

唯一の成瀬自身が視点主となる話です。

成瀬と島崎という絶対的なコンビを容赦なく引き離す、驚きの展開が待っていました。「成功している時こそ変化しろ」という理由なのでしょうか?普通ならもっとこのコンビで話を引っ張りたいところですが。

先ほど記述した、江州音頭練習会終わりに稲枝が成瀬に放った「俺は友達と気まずい別れ方をしたまま、三十年間気にしてたことがあるから」の一言で、読者全員にもれなく、先の「階段は走らない」の内容が一気にフラッシュバックします。

ゼゼカラが平和堂をネタにした漫才を披露するところがお気に入りです。確かに消毒液出過ぎ・・・。

成瀬は信じた道をいく

ときめきっ子タイム

ときめき小学校に通う北川が視点主で、総合学習時間に地域で活躍している人を班で調べて発表するという内容です。

北川の班ではゼゼカラを調べることになり、成瀬と出会うことに。

時系列は「ときめき江州音頭」の後で、成瀬が高校3年生の時の江州音頭であった出来事に触れています。その中で、落とした財布を探す北川の前に成瀬が現れ、「さっきまでステージの上で司会をしていた人だ。芸能人が目の前に現れたみたいにドキドキして」のこの部分が妙に共感できるなと思いました。昔、スーパー銭湯のビンゴ大会の司会者に声をかけられた時に同じような思いをしました。

ここで平和堂が舞台として登場します。Oh!me大津テラスという実在する商業施設の1階にテナントとして入るフレンドマート内出浜店。実際は大津テラス店ですが、もちろん完全一致しています。

途中でチクッとする内容があるものの、大ちゃんの最後の一言に多くの人が救われたのではないでしょうか?

成瀬慶彦の憂鬱

成瀬の京都大学の受験を描いた内容で、視点主は成瀬の父です。

成瀬も成瀬だが、成瀬の両親も胃もたれするほどにキャラが濃い。この両親の絶妙なバランスが成瀬を形成したのではないかと思います。

成瀬の受験が一筋縄でいかず、島崎の「そんなことある?」は、まさしくその通りです。普通ではありえないことが起きます。

ここまでくると、成瀬の膳所高の受験の様子も気になります。

やめたいクレーマー

私が好きでよく行くスーパーマーケットの「平和堂」がメインの舞台となる話です。

大学生となった成瀬が、始めたバイトがスーパーの店員で、そのスーパーが自宅マンションから徒歩5分の場所にある、先程登場したOh!me大津テラス1階にあるフレンドマート打出浜店です。

基本無表情の成瀬に接客が務まるのだろうか?読者全員の疑問が募るかと思います。

近所に住むクレーマーの主婦が視点主となる話で、ひょんなことから成瀬に話しかけられ、とある事件を解決することに。

成瀬に関わる人は、どうしてこんなにもキャラが濃いのか?ここまでキャラの立つ主婦もかなり珍しいです。

最後にとある理由でクレームをいう場面でフェードアウトする終わり方に、この主婦はクレームを言い続ける運命なんだと印象付けます。

コンビーフはうまい

「成瀬は信じた道をいく」のイラストになっているびわ湖大津観光大使についてのお話です。

時系列は「やめたいクレーマーから少し遡ります。」

どうして観光大使になったのか、その理由と観光大使になってからの行動も成瀬らしくて面白いです。

視点主の篠原のピンチに「コンビーフがうまい」が救世主になるとは、また面白い。

「白と黒の衣装を着たいつも通りの成瀬」がとても頼り甲斐があると共感しました。

探さないでください

前作の「膳所から来ました」以来となる島崎が視点主となりますが、島崎は東京へ引っ越しており、久しぶりに膳所へ帰ってきたところから始まります。

「探さないでください」という書き置きを残して消えた成瀬を今作の視点主みんなを巻き込んで捜索することになります。

成瀬の父よ、ハーレムだぞ!!という瞬間がやってきます。

この話は主人公の成瀬が不在にも関わらず、成瀬中心に話が回っており、それほどに成瀬の存在の大きさを知ることができます。

成瀬は都を駆け抜ける

やすらぎハムエッグ

神奈川の田舎から京大に入学した坪井が視点主となるお話から始まります。

一世一代の恋に敗れ、この世の終わりのような坪井に成瀬が声をかけ、二人が出会います。

高校の時もそうでしたが、入学式で目立つのは成瀬の常套手段なのかと思います。

成瀬らしい切り口で坪井に生きる希望を与え、成瀬ファンが増えそうな回だと感じます。

ハムエック丼が食べたい。よし、明日作るか!

実家が北白川

森見登美彦ワールド全開のお話であります。

視点主は北白川に住む新入の京大生の梅谷で、森見登美彦作品に影響を受けた達磨研究会たるサークルに加入することとなります。

成瀬シリーズは地名に由来する苗字が多く登場し、名古屋出身の大曽根や奈良出身の橿原など。篠原や稲枝も滋賀だった。龍が如くも地名に由来する苗字が多い気がしますが。

会長が黒髪の乙女を探しており、ひょんなことから梅谷が成瀬・坪井が出会うことになり、達磨研究会へと招待されるも・・・

達磨研究会のメンバーも相当にキャラが濃く、(大曽根氏に会ってみたい)成瀬の輪が広がっていきます。

成瀬シリーズは、森見登美彦に影響されていることが伺え、成瀬に黒髪の乙女の要素が入っているのかもと思わされます。

ぼきののか

YouTuberの田中が視点主で、北野天満宮で勝手にキャンペーンをする成瀬に絡むところから始まります。(北野天満宮に来たの!)

簿記系YouTuberの「ぼきののか」キャラが仕上がりすぎており、実在するのでは?と思うほど。

さらにYouTuberの裏事情にかなり詳しく、作者の宮島氏はYouTubeをやっているのかな?と思うほど。ただ、登録者数3000人のライブ配信にいきなり300人が集まるのは多すぎる気がします。

凸られた視聴者にあることを暴露され、タクシーで逃げる田中。成瀬も一緒に自宅まで連れて帰るから面白い。

後半には、京大受験日に成瀬と出会った城山の活躍や京大生の凄さを実感することになるでしょう。さすのの!

そういう子なので

上記の3話は「小説新潮」を図書館で借りて読んでいたので、事前に内容を知っていましたが、ここからは未知の内容で、ワクワクドキドキでした。

視点主は成瀬の母で、成瀬がいきなりテレビ局の人を自宅へ連れてくるところから始まります。

「成瀬あかり」の過去や家族についての話で、「成瀬に障害があるのでは?」「成瀬は養子ではないのか?」というネットでの疑問を晴らすのように、この親にしてこの子ありという、ことがはっきりと分かりました。

そして、「そういう子なので」は諦めの意味ではなく、「認める」と言う意味でポジティブに捉えるべきなのです。

親愛なるあなたへ

「成瀬慶彦の憂鬱」で匂わせがあった広島の友人である西浦が視点主のストーリです。

あれ?西浦ってこんなキャラだったかな?と最初は思いました。

大学生となった成瀬が1日忙しく京都を駆け抜ける内容で、最後の方は「成瀬は都を駆け抜ける」の総括のような内容だと感じます。

麻雀の話が出てきて、麻雀を一切知らない私にとっては難しい場面もありました。

それにしても知り合いの知り合いと馴染みすぎではないか?と思います。

時系列で言うと、このあと「探さないでください」と書き置きを残して成瀬が消えます。(年末の予定を聞かれた成瀬の言葉が詰まってた)

琵琶湖の水は絶えずして

久しぶりにして最後の視点主は、やはり「島崎」でした。

いきなり、「病室のドアを開けると」という文字が飛び込んでくるので、びっくりします。

健康に気を遣っている人ほど早く亡くなり、お酒とタバコをこよなく愛する人が長生きする、そんなケースをよく聞きます。

「親愛なるあなたへ」は3作目の総括でしたが、「琵琶湖の水は絶えずして」は成瀬シリーズの総括とも言える内容だと思います。前作の「探さないでください」同様に成瀬不在にも関わらず、成瀬中心に話が進みます。

そして、島崎が成瀬にとって特別なポジションにいることを印象付けます。

ここでも思う、知り合いの知り合いと馴染みすぎでは?と。だいたい1度会っただけのスーパーのクレーマーと一緒のご飯を食べに行くとは・・・すごいとしか言えません。

一番最後の話に、一番最初の「ありがとう西武大津店」で起きた出来事のデジャヴを挿入してくるあたりに感動を覚えます。

名前だけしか登場しなかった人もいますが、全ての視点主が登場し、成瀬が出会ったメンバ一が一堂に会します。

成瀬が「あかり」となってみんなを照らす。成瀬がきっかけでみんなが繋がったように思え、成瀬シリーズのフィナーレに相応しい締め方だと感じました。

ぜぜさんぽ

成瀬の作者である宮島氏が視点主で、膳所駅からときめき坂を成瀬と歩く話です。

途中、島崎も加わり、成瀬シリーズの主な舞台である膳所駅からときめき坂を知ることができる、ゆるい内容となっています。

塩パン美味しかったよっ

よどさんぽ

「ぜぜさんぽ」に続き宮島氏視点主による成瀬と島崎と共に京都競馬場へ行く内容です。

私は競馬というものを一切知らないのですが、馬券を買えない年齢の二人を京都競馬場へと連れ出すとは、皆を競馬の世界へ誘っているように思えます。

私個人的には、「成瀬は信じた道をいく」が特にお気に入りです。

私は成瀬になれないが、成瀬の考え方を取り入れる事はできるので、実践してみようと思います。

成瀬に出会ってから、ますます大津と平和堂が気に入りました。なので私は平和堂を極めようと思い、平和堂全店舗訪問を挑戦しています。

作者の宮島氏と私は、全く違った趣味嗜好があると感じ、私が興味のない「お笑い」が登場し、一切知らなかった「かるた」「麻雀」「競馬」「京都大学周辺」などを知る機会となりました。

びわ湖大津観光大使を卒業したあとももちろん、成瀬は進み続ける。おそらく成瀬の行動は作者でさえ手に負えなくなったから、ここで完結させたのではないかと勝手に推測しています。

この記事の執筆者

プリン🍮と生ハム🥩の渦中にいるフェアレディZ RZ34オーナー。趣味はクルマとドライブと投資とごはんなど(ご飯🍚?)常に新しいコトを探究中! 東海地方を中心に活動しています✨✨

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